感覚統合

感覚統合って何?感覚のアンバランスを知ると自閉症児の「困った」がよくわかる

自閉症のこども達は感覚のアンバランスさを抱えていると言われています。
感覚のアンバランス?と聞いてもあまりピンとこないものですが、このアンバランスさがあると本人の困り感は強くなります。
感覚を統合させてあげるだけでぐっと生活が楽になる子もいるほど効果は高く、感覚の違いについて知っているだけでも適切な対応につながり穏やかに接してあげることができます。
遊びとして取り入れられるものも多くあるプログラムですが、ここでは感覚統合療法の理論をご紹介していきます。

感覚統合とは

自閉症療育でよく聞く感覚統合。
感覚統合についてまったくわからない方でも、大まかに理解できるようにできるだけわかりやすく解説しようと思います!

感覚情報を整理する

わたしたちの脳の中へは常に感覚情報が流れ込んできますが、脳の中では絶えずその整理が行われて行われています。
では、どんな状況になると上手く整理がされず、アンバランスになってしまうのでしょうか。

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道路と脳の中はよく似ている

感覚情報の処理を交通整理に例えてみていきましょう。
実際の道路を見てみると標識があり、信号があり、横断歩道があり…
きちんと整理されているから歩行者、自転車、バイク、車などたくさん走っていても交通事故を防ぐことができていますよね。
脳の中でも、たくさんの感覚情報が入ってきたとき、同じように交通整理をしているのです。
この交通整理が上手くいかないと、渋滞や事故が起こってしまい、適応力のつまずきが出てきてしまうのです。

感覚のアンバランスにつながるわけ

交通整理が上手くいかないと、ある感覚の刺激が交差点でわーっと広がってしまい、後から流れ込んでくる感覚は道路からはみ出したり渋滞してしまいます。
わーっと広がった感覚刺激がいわゆる「感覚過敏」の状態をつくり、他の上手く処理されずに道路をはみ出ていった感覚が「感覚鈍麻」の状態をつくると言われているため、過敏と鈍麻は表裏一体。
これが感覚のアンバランスさとなって現れる仕組みです。

つまずきがあると…

交通整理が上手くいかず、適応力につまずきがあると、学習がスムーズに進まなかったり、仲良くしたいのにお友だちとのコミュニケーションが上手くいかないなど様々な問題が生活の中の困り感としてあらわれてきます。
育てにくい子、困った子と言われるこども達は本当は「困っているこどもたち」なんです。
怒っても変わらないどころか、どんどん自分はダメな子なんだと思い込んでしまいます。
感覚の違いがあるのに、何が「普通」なのかはわからない、その違いがわからなければ他者に伝えることもできません。
だから、周りがよく理解してあげることが大切なんです。

自覚しやすい感覚と自覚しにくい感覚

感覚の中でも自覚しにくいもの、自覚しやすいものがあります。

周りもわかりづらい3つの感覚

感覚にも自覚しやすいものと自覚しにくいものがあります。
わたし達が「五感」と呼ぶ
視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚
これらはもちろん自覚しやすいもの。

それ以外に

  • 平衡感覚
  • 固有感覚
  • (触覚)

平衡感覚と固有感覚の2つの自覚しにくい感覚があり、触覚も意識して使っている部分と無意識で使っている部分があるためこちらにも属します。

平衡感覚は体のバランスをとるときに使い、固有感覚は体の動きをコントロールします。
上記の自覚しにくい3つの感覚は周りから見てもわかりづらく、アンバランスがあってもなかなか理解してもらえません。
ですが、無意識に使っているこの3つの感覚にアンバランスが生じると困り感が多く、生活がスムーズに進まなくなってしまうのです。

バランス!の平衡感覚

平衡感覚は回転や、体の傾きを感じてバランスをとるときに働く感覚で、眼球運動や姿勢のコントロールに関わっています。
耳の中の三半規管がセンサーとなって体のバランスを調整し、視線を安定させているのですが、三半規管は他にも「回転加速度」「重力加速度」というものも感じ取り、脳内へその刺激を送っています。
ですから、重力を感じている間=常に平衡感覚が働いているというわけなんですね。

ここにつまずきがあると、
姿勢をまっすぐ保てない、集中力がなく板書が苦手、人の目を見て話せない、乗り物酔いしやすいetc…

体の動きをコントロールする固有感覚

固有覚、深部感覚とも言われます。
固有覚は「筋肉に生じている張力」「関節の角度や動き」を感じる働きがあり、自由に体を動かすための感覚です。
目をつぶっていても手で「グーチョキパー」の形をつくれますよね?
これは固有覚が正常に働いていて筋肉の張りや関節の動きを感じ取れているからできることなんです。
体を動かすときのアクセルとブレーキの役割を果たすのが「固有覚」と覚えておきましょう。

ここにつまずきがあると、
細かい動きが苦手、力加減が調節できない、常に体に力が入っている、思いっきりぶつかったりドンドン足踏みしたりと自己刺激行動をするetc…

本能に強く関わる触覚

ここでの触覚は無意識で働いている感覚です。
体中にそのセンサーが張り巡らされていることから表在感覚とも言われます。
無意識で働く原始系の感覚として生まれてすぐおっぱいを飲むための「吸てつ反射」(原始反射)や本能的に身を守ろうとする「触覚防衛反応」というものがあります。
それが進化していく過程で意識して働く「識別系」と呼ばれる情報処理のための触覚機能へと変化していったのです。

ここにつまずきがあると、
抱っこや撫でられるのを嫌がる、のりや粘土などを嫌がる、洋服の素材やタグを嫌がる、モノを噛む、怪我をしても痛がらないetc…

ボディーイメージと空間認知

とっても大事なボディーイメージと空間認知を見ていきましょう。

ボディーイメージとは

上記の3つの働きが正常に行われず、アンバランスになると「ボディーイメージ」の形成が難しくなります。
3つ全ての感覚を使って自分の体の大きさや、体の傾き、体の曲げ伸ばし具合、力の入り具合、関節の状態など感じ取り、6歳頃には基本的な自分のボディーイメージは形成されます。

ボディーイメージがしっかりと育ってこそ、動作イメージを作り上げることができるのです。

動作イメージとは

  • 動きの手順
  • 動かす範囲や力加減
  • リズムやタイミング
  • 体の軸やスピードの調整

これらをイメージして運動に活かすのですが、まずボディーイメージが育っていないと動作イメージを作りあげるのが難しく、結果として不器用、ぎこちない動きとなってしまいます。

空間認知とは

空間認知とは、聴覚や視覚を使ってモノの大きさや高さ、広さなどを認識するだけでなく、その距離感やスピードも認識する機能です。
この機能が働くことでキャッチボールなど、ボールの大きさや位置、距離感を把握し、それに合わせて体を動かすことでボールをキャッチしているのです。

2つの機能で思い通りに体を動かす

この2つの機能がしっかり働いて初めて自分の思い通りに体を動かせます。
ですから、健常のお子さんでも小さいうちはたくさん感覚を使ってこの機能を育てている段階です。
普通は遊びの中で自然と身に付いていくものですが、上手く育っていないと、
よく転ぶ、モノにぶつかるなど生活での困り感として現れます。

まとめ【感覚を統合していく】

発達の気になる子の感覚統合あそび

今までの様々な感覚が絶えずわたし達の中へ流れ込んできているわけですが、ここで話を戻していきましょう。
この感覚が上手く交通整理されない→感覚のアンバランス
では、この感覚が統合されるためにはどうしたらいいでしょうか。

基本となるのは本当に何気ない日々のあそびです。
一見、無駄に思えるようなこどもの行動も、もしかしたらこうした感覚を受けてその機能を正常に働かせるための土台づくりなのかもしれません。
わたし達親にできることはひたすら外遊びのお付き合い。
たくさんの外遊びが感覚をしっかり統合、機能を正常化させてくれます。
どうしても過敏が強い場合などは、イヤーマフなどのアイテムを使うのもおすすめですよ。
苦しませ続けるのはかわいそうですからね。

感覚のアンバランスさが与える影響はたくさん。
そのことを知っただけでもう◎です!
これからきっとお子さんの見方が変わってくるはずです。
色んな視点を持って、何に困っているのか、どんなサポートが適切なのか。
いつもお子さんの立場にいられたら、きっとだんだん答えは見えてきます。

うちの息子も絆創膏やタグは嫌がると思えば、怪我しても注射しても泣きません。 トイレのエアータオルは苦手だけど、バイク音は平気だったりする。 思いっきりアンバランスです。未だに重力に少し恐怖心があるのか、ジャンプが苦手だったり。 でも、この感覚統合の理論を知って少し息子の世界がわかった気がしました。 昔も今もとにかく外遊び。たくさん遊んで体も心も育てています。

 

「発達が気になる子の感覚統合」
保育者のためのアプローチ方法やアセスメントについて詳しく書かれています。
読みやすくわかりやすい一冊。

「発達の気になる子の感覚統合あそび」
家庭でできるあそびがたくさん紹介されていて、しっかりねらいを明確にしながら、すぐにお子さんと楽しめる内容だと思います。

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うみ
シンプルに心のゆとりを目指す二児の母 「発達障害・自閉症児」の子育て記録