ABA

自閉症療育といえばABA(応用行動分析)その基本と私がABAを選んだ理由

自閉症の子を持つとよく「早期療育」という言葉を耳にします。
療育にはたくさん種類がありますが、自閉症児の療育として有名なABA。
わが家も息子が年少児から片道約2時間かけてABAのセラピーに通わせていました。

ABAのお陰で伸びたところもたくさんありますし、人との関わりが今も大好きなのは適切な関わりがあったからだと思っています。
大変だったけれど、本当に通わせて良かった!
そんなABAについてご紹介します。

ABAとは

Applied Behavior Analysis の頭文字を取ってABAと呼ばれています。
行動分析学の理論を応用し、こどもの行動を環境との相互作用の枠組みの中で分析→行動の予測や環境を操作することで望ましい行動を増やしていこうというのがABAのおおまかな理論です。

ABAの基礎

ABCフレームで行動を見る(ABC分析)

行動の直前に起きたできごと(Antecedent)

行動(Behavior)

その行動の後に起きたできごと(Consequence)

行動の前後にどんなことが起こっているのか。
その行動にどう影響を与えているのか。
まずは行動の機能(目的・意図・役割)に着目し、なぜその行動をとるのかを分析することから始まります。

行動が強化される仕組み

ABAではABC分析を用いたときにBの行動の後にCの事象があることでその行動が継続したり、増えたりすることを「強化」と言います。

例えば、

おもちゃ屋でおもちゃが欲しい(A)

泣いて駄々をこねる(B)

おもちゃを買ってもらえた(C)

こんなできごとがあったとします。
こどもが泣いて駄々をこねたことによって、お父さんもしくはお母さんがその行動を早くやめさせたいとの思いからおもちゃを買ってしまうことって子育て中はよくありますよね?
このCの「おもちゃを買ってもらえた」経験から、こどもはまたおもちゃ屋へ行ったときに欲しいおもちゃがあると、泣いて駄々をこねるようになります。
そう、一度「買ってもらえた」からです。
これが行動の強化の仕組みです。
日常にはこんなことが溢れているわけですが、ここで考えていきたいのが正の強化と負の強化についてです。

良い行動を強化する

ABAでは、適切ではない行動に目を向けるのではなく、適切な行動(良い行動)に目を向けてその行動を強化【正の強化】していきます。
適切ではない行動、問題行動とされる行動に関しては強化【負の強化】をしないことが大切です。
飴と鞭で言えば、適切な行動には「飴あり(褒める)」で対応、適切ではない行動や問題行動には決して罰を与える方法ではなく、「飴なし」で対応していくことで適切な行動を増やしていきましょう。

強化が適切でない場合、支援者側がいくら「強化している」と思っていても望ましい行動は増えません。
望ましい行動が増え、評価がされて初めて「その行動が強化された」ことになります。
強化がされていない場合は、他のやり方に変えてみるという柔軟な対応が大切です。

家庭でABAを活かすには?

 

日常生活の中の行動を書き出してみよう

  • 子どもの気になる行動
  • 子どもの適切な行動

必ず両方書き出していってくださいね。
両方書き出すことで全体の行動を捉えていきます。
また、その行動について少し考えてみると、いつも「気になっていた行動」が実は特に問題のない行動であることに気が付いたり、気になる行動と同じくらい適切な良い行動があったかもしれません。
書き出していくことで俯瞰してみることができるので生活全体の行動を把握するためにも両方を書き出します。

ターゲット行動とその分析

気になる行動(問題行動)、増やしたい行動(できるようになってほしい行動)があれば、それをターゲット行動として客観的にその行動を見ていきましょう。
まず、そのターゲットとなる行動について具体的に書かれているかどうか確認してください。
ここが具体的な行動でないと評価にばらつきが出たり、評価自体が難しくなってしまいます。

具体的なターゲット行動を定めたら、その前後に何が起きているのかを書き出し、その行動に関して記録を取っていきます。
〇×で行動の有無を記録する方法やその行動が持続した時間を記録する方法、回数を記録する方法、状況を記録する方法などがありますが、できる範囲で構いません。

とにかく記録を取り続けABCフレームの枠に合わせてその行動がなぜ起きるのか仮説を立ててみます。

ターゲット行動の強化

ターゲット行動を増やすためにその行動の強化について考えてみます。

強化子(正の強化をもたらすもの、こと)

  • 好きな食べ物
  • 好きな遊び
  • 好きなもの
  • 好きな関わり
  • ほめ言葉

こどもにとって「強化」になるもの=本当に好きなことを探してみましょう。
本当に好きなことが行動の後にもたらされることで正の強化につながります。

ターゲット行動を引き出すコツ

  • 環境設定
  • プロンプト
  • 信じて待つ

環境設定では、ターゲットとなる行動が「起こりやすくなる・起きにくくなる」ように環境を操作します。
勝手におやつを食べてしまうなら、手の届くところに置いておかない、物を投げてしまうなら投げられたら危ないものは置かない、自分で片付けができるようになってほしいなら、片付ける場所や見てすぐに片付けられるよう工夫します。
この環境設定がTEACCHの構造化にあたり、物理的な刺激を減らすことでわかりやすく、過ごしやすい環境にするというものです。

構造化についてはこちら 

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プロンプトとはターゲット行動が起きやすいように指導者側が援助・サポートすることをプロンプトと言います。
プロンプトには言語(声かけ)・視覚(提示)・身体(手を使って誘導)の3つの方法があり、適切な方法を見極めると同時にいつでもフェーディング(プロンプトを減らしていくこと)ができるよう援助しすぎないことが大切です。
また援助に依存しすぎないように早めの段階でフェーディングする必要があります。

もうひとつ、一番大切なのはこどもを「信じて待つ」ということ。
プロンプトを出し過ぎてしまわないためにも、お子さんを信じて待ちましょう。
ただ、待ちすぎて癇癪を起したりしてから終わりにしてしまうと逆効果になってしまいます。

必ず、「できた」という成功体験で終わらせるように心がけます。

行動の消去

お子さんの不適切行動を「強化しない」ことはお伝えしました。
では、不適切行動にどう対応するの?と思いますよね。
ABAには「消去」という方法があり、これが「負の強化をしない」ということになります。

消去とは、不適切な行動が起こったときに注目をしないこと
よく消去=無視と言われこれがまた冷たいと思われてしまうのですが、わたしはそこまでしていないです。
「うん」と軽く言って流すとか、「はいはい」で終わり、みたいな感じです。
注意引きでいたずらをするなんてのは反応したら強化されてしまいますね。
なのでささっと片付けてスルーです。

ただ、ここでいう不適切行動は上記のようなもの。
攻撃行動はもっと根深い問題なのでさらっと流すことで簡単に消去とはいきません。
まずは自傷・他傷問わず止めて大丈夫です。

わたしがABAを選んだ理由

ずらーっと書いてきましたがなんとなく伝わったでしょうか?
良いところに目を向ける手法なので、たくさん褒めてもらったり、たくさん遊んでもらったりと「できた」を増やしていくのにとても効果的な療育プログラムです。
ABAは冷たいと誤解をされやすいですが、全然そんなことはないです。
療育方法に限らず、全ては支援者次第。どれだけこどもを思う気持ちがあるかだと思っています。

実際、わたしも家でABAを始めたときは何が何だかわからず、時間もない。
感情ばかり入ってしまって全然うまくいかない。そんな経験をしました。
だからこそ、タイミングよく開所し始めたABAのデイサービス・プロのセラピストさんにお願いしたのです。
結果、わたしも相談しつつ学ぶことができ、息子も息子目線に立ってくれる素敵なセラピストさんに囲まれ良いところをたくさん伸ばしてもらえましたし、できることや言葉も劇的に増えました。
毎回のセラピーの様子を動画で見せてもらった時も家とは違う、刺激の少ない環境で、すべきことが明確で、できたらたくさん褒めてもらって、プロンプトのタイミングの絶妙さにも感激しました。

今、同じような問題を抱えている親御さんも、自分でセラピーをする余裕はないかもしれません。
でも、今ではABAもかなり普及してきてデイサービスも急激に増えています。
息子が小さかった頃に比べ格段に選択肢が増えていると感じます。
大変ではありますが「誰から学ぶか」そこを見極めて療育ができればそれで良いのではないでしょうか。

ちなみに息子は今も週に2回療育を受けていますが、おそらく手法はABAです。
基本は変わらずどんどん応用していけるので年齢があがってもずっと続けていくことができます。

こうしてセラピストさんに頼りながらも続けることで息子自身学びやすい環境ができ、親であるわたしもその間に学んでいったことで家でも同じやり方で般化することができるようになりました。

 

参考「子育てに活かす ABAハンドブック」
井上 雅彦先生監修のとてもわかりやすい入門書。
専門用語もなるべく使わずに書かれており、すぐに使える評価シートも付属されています。

ABAをもとにした超早期療育はこちら≫

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シンプルに心のゆとりを目指す二児の母 「発達障害・自閉症児」の子育て記録